登場するバレエの演目 Program


悪魔によって白鳥の姿に変えられたオデットはジークフリートと永遠の愛を誓う。しかし彼は、舞踏会でオデットと瓜二つの悪魔の娘オディールに結婚を申し込む。正体を知ったジークフリートは悪魔に戦いを挑むが…。
チャイコフスキーが初めてバレエ音楽を作曲した作品。そのドラマティックな音楽と演劇的なストーリー、オデットとオディールを一人二役で踊りわけるダンサーの妙、コール・ド・バレエの白鳥の美しさによって、おそらく世界で最も有名で、最も人気が高く、そして最も頻繁に上演されるレパートリーのひとつだろう。
1877年ボリショイ劇場での初演は失敗に終わったが、1895年ペテルブルクのマリインスキー劇場で初演されたプティパ&イワーノフによる改訂版が成功を収め、その後の多くのバージョンにおける基本となった。
現在ボリショイで踊られるグリゴローヴィチ版は、4幕を2幕4場に変更し、フィナーレも旧ソ連時代のハッピーエンドから、21世紀になってジークフリート一人が生き残り絶望の中に佇む悲劇となった。
映画では、第1幕第1場の「ワルツ」、アナスタシア・メーシコワが踊る第2幕第1場の「スペインの踊り」、伝説のバレリーナ、ガリーナ・ウラーノワの貴重映像、そしてマリーヤ・アレクサンドロワがボリショイ往年のプリマ、ニーナ・セミゾーロワに指導を受ける第1幕第2場「オデットのヴァリアシオン」を見ることができる。


古代インドの寺院。舞姫ニキヤと恋仲の戦士ソロルは、ニキヤを裏切って王の娘ガムザッティと結婚。ガムザッティの陰謀でニキヤは落命し、阿片を吸ったソロルは夢の中で亡き恋人と再会する…。
愛憎と裏切りが渦巻く三角関係に、権力者の陰謀が絡んだ一大スペクタクル。ルートヴィヒ・ミンクスの音楽、マリウス・プティパの振付で、1877年ペテルブルクのマリインスキー劇場で初演。1961年キーロフ・バレエのロンドン公演で第3幕「影の王国」が西側で初めて上演され、世界的に知られるようになった古典バレエの傑作だ。
2013年初演のグリゴローヴィチ新改訂版は、ガムザッティとソロルの結婚式に寺院が崩壊し全員が死ぬという従来の第4幕をカットし、「影の王国」で幕を閉じる全3幕版。グリゴローヴィチ自身「バレエ芸術の頂点のひとつ」と語る有名な「影の王国」は、映画冒頭に登場。暗闇に浮かび上がる精霊たちがスロープをゆっくりと舞い降りる幻想的なシーンは、まさに息を呑む美しさ。


旧ソ連の作曲家アラム・ハチャトリアンのバレエ『スパルタクス』は、レオニード・ヤコプソン振付版が1956年レニングラードのキーロフ劇場で初演されたが、現在では1967年ロシア革命50周年記念作品として企画され、1968年ボリショイ劇場で初演されたグリゴローヴィチ振付のものが決定版として継承されている。
ローマ帝国時代、奴隷となったスパルタクスが自由を取り戻すため、圧制者クラッススに抗して反乱を起こすという有名な物語。マイムや余興的要素を一切排し全てダンスで綴られるドラマ、主人公たちの心理を深く掘り下げたモノローグ、男性ダンサーたちに要求される豪快な跳躍と圧倒的スケールの群舞など、そのエネルギッシュな振付はまさにボリショイ・バレエの看板レパートリーにふさわしい。
映画では、本番やリハーサルなどさまざまなところに登場するが、印象的なのはマリーヤ・アラシュが舞台袖で、イワン・ワシーリエフとマリーヤ・ヴィノグラードワが踊るステージを見ているシーン。


フランスの文豪バルザックの小説「幻滅」を題材に、元々はロチスラフ・ザハーロフ振付/ボリス・アサフィエフ音楽によって1936年レニングラードで初演されたドラマ・バレエ。その台本を基に、作曲家としてボリショイ劇場初の音楽監督を務めたレオニード・デシャトニコフが新たに音楽を作曲し、ボリショイ・バレエ元芸術監督でアメリカン・バレエ・シアター常任振付家ラトマンスキーが斬新な息吹を吹き込んだ2011年の新作。
1830年代のパリ。売れない作曲家リュシアンはパリ・オペラ座で成功を収め、ダンサーのコラリーと恋仲になるが、彼女のライバルであるフロリーヌの誘惑によってコラリーを捨てる。その後、フロリーヌにもオペラ座にも捨てられたリュシアンはコラリーの元に戻るが、彼女は既に元のパトロンと寄りを戻した後だった…。
映画の中で、アナスタシア・メーシコワがテーブルの上でフェッテ(回転)している舞台袖で、彼女の息子はゲームをやっている…。メーシコワは、第2幕の仮面舞踏会でリュシアンを誘惑し魅惑的に踊るフロリーヌを演じている。


16世紀のロシア戦乱の時代に、外敵の侵入や貴族たちの陰謀と戦いながら統一国家を目指したイワン4世を主人公に、統一への民衆の渇望、愛国心、自由を求める情熱を迫力たっぷりに描いた、1975年初演のグリゴローヴィチ振付作品。音楽は、ロシアの作曲家セルゲイ・プロコフィエフがセルゲイ・エイゼンシュタイン最後の映画『イワン雷帝』のために書いた楽曲を基に、ミハイル・チュラーキがバレエ音楽として編曲したもの。
セルゲイ・フィーリン襲撃事件で逮捕されたパーヴェル・ドミトリチェンコが、映画の中で最初に登場するバレエシーンが『イワン雷帝』。2013年再演の際、初日にタイトルロールを踊ったのがドミトリチェンコであった。全ロシア統一を願うイワンが鐘のロープを束ねて、その上に身を委ねるラストシーンは圧巻!


古典の新解釈などで知られるスウェーデンの鬼才マッツ・エックが、2000年に初めてパリ・オペラ座のために振り付けた作品。2013年3月にボリショイ劇場で初めて上演されるエック作品として話題を呼び、映画のラストでマリーヤ・アレクサンドロワが踊るのは、彼女が怪我から復帰した2014年2月の再演映像。
アパルトマンの日常生活が、「バスルーム」「テレビ」「キッチン」「掃除機」などをテーマに11景で綴られたコンテンポラリー・ダンス。音楽はエック作品の常連フレッシュ・クヮルテット。オーブンの中から黒焦げになった赤ん坊を取り出す衝撃的な「キッチン」のラストでは、今までに見たことがないアレクサンドロワの新しい姿が映し出されている。

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